岡部昌生 ZIRCON

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Emmetropia  -震災後をみつめる-
from the innocent perspective
岡部昌生 ZIRCON

切り倒されたイグネ 福島県飯館村 2016 photo:Chihiro Minato

それは日本の近代を測るため、具体的には日本のエネルギー史を知るための、そこに隠されていた躓きの石を見つけるための、重要な指標の一つである。その壁を紙の上に擦り取った岡部昌生さんは、作品名を「ジルコン」とした。広島の被爆した石や木、福島の被曝した木も、ジルコンと同じ意味で歴史を計る時計となるだろう。
だがそれは、過去の時間を計るだけではない。放射能汚染によって、半減期という日常を超える時間を抱え込んでしまったわたしたちにとっては、それはむしろ「未来時計」である。永い時間を示す時計にとって、「5年」という時間はどのように示されるのだろう。わたしたちのジルコン、わたしたちの風信子鉱が伝えようとする微かな音に、過去だけではなく未来を聴きとることは可能であろうか。

港千尋「未来からの信号」より(ART BRIDGE issue03「地球がささやく時」) 2016

ZIRCON 旧理研扶桑稀元素工業第806工場跡での公開制作 2015  photo/はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト実行委員会

岡部昌生氏はフロッタージュという技法を用い、国内外の各地に残る歴史の痕跡を擦り取る活動を続け、歴史に真摯に向き合うその活動は、2007年 第52回ヴェネチア・ビエンナーレの日本代表を務めるなど、国際的にも高い評価を得ている現代美術家です。
東日本大震災後、被災した東北の沿岸部を廻り、フロッタージュという対象を擦り取る行為を通し関わりを続け、その表面のみならず変わりゆく現実をも紙の上に移しとり、まるで記録するかのような活動を続けています。
本展では、2015年福島県石川町の旧理研扶桑稀元素工業第806工場跡に残るを壁面を擦り取った「ZIRCON」を中心に展示し、透かし見えてくる「今」を考えようと思います。

2016年4月29日~5月29日 土日祝祭日開催 open 10:00~17:00
月〜金は予約制です。前日までに Contact からお問い合わせ下さい。

|関連企画|
◇トークイベント 
岡部昌生 × 港千尋(あいちトリエンナーレ2016芸術監督)
5月22日(日)16:00より Hibari-sya Emmetropia展示会場にて 
定員50名 聴講無料

|企画展|
◇FUKUSHIMA SPEAKS 

アートで伝える考える福島の今、未来 in NAGAOKA
はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト報告展 × 岡部昌生 被爆樹から被曝樹へ
5月23日~5月29日 9:00~18:00 長岡造形大学 1Fギャラリー
観覧無料
主催 長岡造形大学小林花子研究室 / はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト実行委員会
協力 Hibari-sya

◇FUKUSHIMA SPEAKS ギャラリートーク
「アートで伝え考える 福島の今」
川延安直 (福島県立博物館専門学芸員) × 岡部昌生
5月26日(木) 18:00より 長岡造形大学 1Fギャラリー
参加無料

|岡部昌生 Masao Okabe|
記憶や歴史の痕跡をテーマに、フロッタージュ作品や土によるドローイングなど、大がかりなプロジェクトで国際的に知られる。
1979年にはパリのイヴリ・シュルセーヌに滞在し、169点からなる《都市の皮膚》を制作。1980年代後半より、広島の原爆の痕跡を作品化するプロジェクトを始め継続的に取り組んでいる。88年のヌーサ(オーストラリア)における市民とのコラボレーション以来、ワークショップも積極的に実施している。
主な展覧会やプロジェクトは『ART for the SPIRIT 永遠へのまなざし』(北海道立近代美術館2001)『シンクロニシティ同時生起』(広島市現代美術館2005)第52回ヴェネチア・ビエンナーレ美術展日本館『わたしたちの過去に、未来はあるのか』(2007)『タスマニアのヒロシマ』(MONAタスマニア2011)『南相馬の記憶と記録』(南相馬市博物館2013)『札幌国際芸術祭2014』『そらち炭鉱の記憶アートプロジェクト』  (旧住友奔別炭鉱遺構 幾春別2014)『被爆70年祈念連携プロジェクト 被爆樹に触れて2015』(広島 沖縄 名古屋 福島 札幌 東京)『FUKUSHIMA SPEAKS』( 京都造形芸術大学2016)など多数。

『あいちトリエンナーレ2016』出品作家

2016-04-11 | Posted in NewsComments Closed 

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